メッセージ Messages

2011年3月、TVジャパンの緊急放送で私たちは東日本大震災のニュースを知りました。数十分後、津波が押し寄せるのを見て私たちは体が硬直し、放心状態になってしまいました。

災害が起きてから数週間後、テレビに映された梅の花にそれまで硬直していた身も心もほぐれ、泣き崩れてしまいました。一面灰色の瓦礫の中で咲いたあの色鮮やかな梅の花の美しさは一生忘れることはないでしょう。また私たちは、避難所で配られたおにぎり1個に「ありがとうございます」と頭を下げられておられた東北の人々に美しいものをお見せしたいとの思いに駆られ、尊敬してやまない辻 惟雄先生に連絡をとりました。

この展覧会は多くの人々や機関の善意によって開催され、すべての収益が東北にもたらされます。数えきれないほど多くのご家族を亡くされた方々、ペットや家畜を失われた方々をどのように慰めたらいいのか言葉もありません。しかし日本人の先達が残してくれた楽しく、美しく、格調高い江戸絵画が一人でも多くの人の心の支えになってくれれば、私たちは大変うれしく思います。そして被災された方々が苦しくとも勇気を持って一歩ずつ進み、幸せを取り戻せますよう、心から願っております。

陸前高田市、高田松原にて(2012.05)

ジョー・プライス氏は1929年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。1953年に初めて若冲の作品と出会って以来、蕭白、芦雪、応挙などの江戸時代絵画を収集している。66年に悦子夫人と結婚。88年にロサンゼルス・カウンティ美術館に日本館を新設した。